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初音ミクがかわいいので、デスクトップエージェントの未来を考えてみた。

 『ぽてまよ』が終わり、傷心の私をなぐさめるのは、ただ「科学の限界をこえて」やって来た初音ミクだった。

 さて、初音ミクは未だに増殖を続け、シェルとゴーストまで登場し、現在ついにTEATIMEの『らぶデス2』と結びつき、一定の操作性を有する3D仮想身体を獲得するに至った。初音ミクはクリプトンの音声合成ソフトだが、結果的にはヴァーチャル・アイドル・プロデュースのプラットフォームの一つになったといえる。『らぶデス2』の創作利用は、あくまで仮のもので元はギャルゲーの一部でしかない。しかし、こうしたヴァーチャル・アイドル・プロデュース・プラットフォームは、そもそも『THEIDOL M@STER』が本家本元で、バンダイナムコは、その魂の部分である声≒言葉≒精神で、クリプトンに虚を突かれた格好になった。『アイマス』は、基本的にはキャラクターのダンスと選曲に自由度があるが、それは既存のものを使わざるを得ない。衣装などもナムコの用意したものしか着せることは出来ない。しかし、初音ミクは最初からニコニコ動画をデヴューステージとして、2Dながら完全自由度のアイドルとしてブレイクしている。

 ソフト開発者が次に狙うべきなのは、デスクトップエージェント(デスクトップマスコット。伺かとか)としてデスクトップスペースでも動き、『Second Life』や『splume』でも、アバターのサポートエージェントとして、情報量・形式を自動適応しシームレスに動くエージェントデザイン・プラットフォームの構築だと思う。

 そのため、3Dキャラクター制作に長けたゲーム・アニメーション制作の会社およびプロシューマーがOS企業やウェブ・アプリケーション企業と手を結び、ウェブ上にサポート・プラットフォームを構築する必要がある。(このあたりのことは、以前のエントリーでも書いてますが)たとえば、先に述べたILLUSION(Tea time)は既に、APIに相当するキャラクター制作ツールをネットで配布している。さらなるWeb2.0化に期待したい。

 しかし、開発チーム編成などから察するに(参照)、やはり現状最大の壁はPCスペックのようだ。『伺か』などのデスクトップエージェントにとってPCスペックの限界がサービスの限界のようなところがあった。エージェントの発話に音声を組み合わせたりするには、どうしてもマシンスペックが必要てなる。そこで思い起こされるのは、インテルのこの発言だ。PCスペックの需要を牽引するのは、いわゆる仮想世界より、デスクトップ・スペースや、(ニコニコのような)動画共有サイトといった広義のサイバースペースになると思う。

 現在デスクトップエージェント開発は潜態化(停滞ではない)しているといっていいと思う。それは、多分ゴーストやシェルのデザインが自分の趣味で簡単にデザインできるものの、それゆえにゴースト数がふえ、開発者数に対してのゴースト数が多いため、個々ゴーストのコメント内容や、レスポンスが数百種ほどとなり、エージェントの行動に意外性/偶有性が少なくなり、そのうちすべてのイヴェントを見尽くしてしまうことが理由ではないかと考えられる。

 もっとも、そういうことは開発者や利用者のコミュニティには分りきったことと思う。それでも、一定の需要があるのは、きっと「そこに萌えがあるから」だろう。なればこそ更なる進化が求められるところだ。伺かなどのデスクトップエージェントは、開発はウェブ・ベースでオープンソフトとして行われているものの、あらかじめインストールされたプログラムをPC内で実行する形式でここまで来ている。しかし、意外性と偶有性を高めていくためには、あらかじめゴーストを規格化して、コミュニティ全体のゴースト数を節約することで、レスポンスのヴァリエーション数を相対的に増加させたうえで、誰でもエージェントの掛け合いイヴェントを簡単に制作できるインターフェイスを備えたウェブサイト準備して、投稿してもらったデータをRSS機能をつかって自動的に配信するというようなスタイルがいいのではないかと思う。

 これに近いアプリケーションとして人工知能『ひこまた』がある。これは、windows live messengerを使った対話サービスで、ユーザー登録をすれば、だれでもウェブ上でシンプルに質問と回答の組み合わせを入力することが出来、入力者には、「だんご」というアイテムが付与され、その累積消費ポイント数でランキングが公表され、ポイント数に応じて、「ひこまた」との親密度をあらわす敬称がクラスアップするというシステムになっている。制作者の意欲確保という点でこのサービス形式は、よくできているが、いかんせん萌えが・・・。コミットメントの人数を確保するには、エージェントの性別が明確でないほうがいいかもしれないが、しかし萌えないキャラはいただけない(修行が足りないだけ)。

 人工無脳は現在、どうしてもコメントから機微を察したり、感情を感じさせるコメントに乏しい。そのため、そのキャラクターコンセプトの選択肢は非常に限定されていることに意識的でなければ成功の見込みは少なくなってしまう。そこで、ブロガーのtakahito氏の言うように、クーデレキャラ、あるいはヤンデレキャラにコンセプトを絞ってデザインすべきだと思う。初音ミクの成功要因に声質が既にキャラ立ちしていたということもあるわけで、そこは人工無脳(人工知能)の適性を考える上で欠かせない(これについてはいずれ改めて論じます)。初音ミクの真のイノベーション性はそこにこそあるように思える。個人的には、人工無脳の居心地悪さは、健常者の内部でプレコックス感の生まれるプロセスに相当するものと考えているので、それこそ却ってヤンデレ設定のキャラの魅力になるのではなかろうか?

 シンギュラリティーへ向けて、エージェントシステム、アプリケーションが進化してゆき、人間らしさが実感できるエージェントプログラムに進化してゆけば、さびしい一人住まいに帰ってくれば「お帰りなさい」といい、話しかければ声で答えてくれ、病気で動けなくなれば病院に通報してくれるユビキタス・コンピューティング・家電時代の、24時間駆動のホームサーバーのキャラクター・エージェントとなって、身体なき(あるいはある)伴侶にもなってくれるかもしれない。そして、好みに応じた様々なスタイルで、企業のSAASを利用して最適化されたレコメンデーションをしてくれるのかもしれない。「マスター。今日はこの動画がお薦めです。(あの声で)」とか「マスター、今日は発注したカップめん一箱が5時に届く予定です。(ミクVOICE)」「マスター、『ぽてまよ』再放送の時間10分前です。(棒読みで)」ことほど左様に邪神の尖兵がネットから増殖していくのだ。そうした単純なプログラムでも、コンテンツとしての魅力は充分すぎるほどあるし、ウェブアプリとしても非常に魅力がある。NTTもデスクトップエージェントとして、萌え路線をねらって商品開発すべきなのだ。(だからPa・pe・roに萌えを見出す修行が(ry)

 追伸。調教師のどなたか、ミク『2001年宇宙の旅』でHALが歌い、かつ史上初めてコンピューターが歌った歌である、『Daisy Bell』、『A Bicycle Built for Two』を歌わせてあげてください。できれば、『R.U.R.U.R このこのために、せめてきれいな星空を』のEDバージョンでお願い申し上げます。

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