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アクシズの交代

今回こそ短く、あれこれ触れるだけに。

まず、Singularity Universityについて。要はX PRIZE財団のペーター・ディアマンディス氏を通じて、カーツワイル氏が多くのコネクションを広げたということでしょう。とくに、Googleのラリー・ペイジ氏。これで、ビル・ゲイツ氏についでIT系の財団・富豪にコネクションが増え、IT分野におけるカーツワイル氏の発言力が拡大することになるでしょう。つまり、米国では推進派シンギュラリタリアンの発言力が増大し、シンギュラリティに備えて、お金が回りだす布石が出来つつあるということではないかと思います。X PRIZE財団は、過去にスペースシップ・コンテストで民間宇宙旅行への道をひらいたり、Googleと共同で月に送り出すロボットの開発コンテストを開いてきた実績があります。それとDARPAのロボットカーレースの優勝チームのセバスチャン・スラン氏もアドバイザーか教師か分りませんが参加しているようです。あとナノテクノロジーのフォアサイト研究所やシンギュラリティ研究所の人材がかなり参加しているようです。
ついでに最近フォアサイト研究所所長のJ・ストールズ・ホール氏が「シンギュラリティは直近ではアーリー・リタイアメントをすべての人にもたらす。」というコラム?をそのサイトに書いてます。ともかく、この大学は企業家や投資家などに、シンギュラリティに関する知識を得る場所を提供することが目的にみえます。でなければ、募集定員が少なすぎるでしょうし、秋からは実際そういう講座ができるようです。それとシンギュラリティ研究所もそうですが、創立の目的が「シンギュラリティに対して人間性を準備する。」とあるのがとても引っかかります。普通に読めば、シンギュラリティに備えた人材を育成すると読めますけど、よくよく解説を見ると「人間性の大変化のために」と書いてあります。それって、「人類補完機構」ということですよね。ブギーポップだと統和機構にあたる組織ですが、この大学は最初からエリート養成を目的とするということのようですから、何か怖ろしく不穏なものを感じます。

カーツワイルの収穫加速の法則の説明に欠かせない、イノヴェーションの概念や、少し前に流行した創造的破壊の概念は経済学者シュンペーターによって生み出されました。彼はwikiにもあるように相転移的な資本主義から社会主義への移行を予言しています。そしてそれを主導するのは社会主義者などではなく、利潤を追求する企業家や資本家の手によるとしています。カーツワイル氏もホール氏もリベラルな態度をとっていてシンギュラリティには大きな政府が必要になるだろうというような意見をしばしば表明しています。しかし、シンギュラリティはおそらく、資本家によって作られることになり、各国政府はその規模も権能も縮小していくことになるでしょう。それは、「スノウ・クラッシュ」のようにではなく、国家はあたかも現状どおりであるにもかかわらず、その支配権は国民全体から一部の資本家に移っていくという形で。

以前、サイトにカルマ本位マネーについての駄文を書きましたが、現在炭素本位制への急激な変化が世界的に起こりつつあります。炭素本位制はつまり、いままでの石油担保にしたドルを本位とする貨幣システムからあらゆる事物、エネルギー(リニューアブルやバイオ燃料)、二酸化炭素削減枠、メタン削減枠、水と水使用量削減枠、
等などを貨幣の裏づけとするシステムに容易に転化することが出来ます。さらに、もしこの貨幣システムがITによって全ての地域通貨を飲み込むことになったら?ある意味では、これは貨幣の裏づけの消滅であり、ある意味では全ての事物の貨幣化=計算可能化(金勘定化)です。このとき、市場創設のパワーホルダーたちは、巷間の価値基準それ自体の設定を恣意的にある程度コントロール出来るようになるわけです。そして、そのことが市場を通じて富を彼らにもたらす。たとえば二酸化炭素の排出枠の価格をメタンより高くしたり、削減されたであろう炭素の量を大きく設定して売りに出す排出枠を水増ししたり、植林をすることで排出枠の生産をおこなったり、グリーン電力証明書をあらゆる家電に添えることで付加価値を創出したり、地域奉仕活動をするとグリーン証書と兌換可能な地域通貨ポイントがもらえるようにしたり、簡単な介護などで地域通貨ポイントがもらえたり、ちょっとした親切で(ry、社会をよくする活動で(ry、政治活動で、「よりよい」議員を選出する手間に対して、「よりよい」商品のCMを見たことに対して・・・・。だから、私はカルママネーが出現するだろうと考えるわけです。どの行為が他の行為より優れているかが市場を通して価格で決定される。だから、大資本で価格に介入できる投資銀行などは、民衆の嗜好も善悪の観念もある程度づつ流れをコントロールできるようになっていく。私たち、ネットの娯楽に耽溺しているものたちは、ITの拡張(とくにインターフェイス)でいわゆるベターリアリティの悪夢(マトリクス状態。これなんて『沙耶の唄』?)に押し込められつつあるのかもしれない(最近『宇宙をかける少女』で描かれてますね)。


話は変わって、2012年圧倒的な性能のスーパーコンピューター『Sequoia』が導入されるそうです。このスパコンの処理性能は20テラペタFLOPS。ちょっとまって、カーツワイルの目算によると人間の脳の性能の大きく見積もった数値は10テラペタCPS(FLOPSと同じと考えていい)。したがって、もしこのスパコンが稼動すれば、ソフトウェア次第(高度な再帰的プログラミングなどを用いた)でシンギュラリティ到来なんですが・・・。こうなってくると、直近の問題として、そろそろ10ペタFLOPS以上のスーパーコンピューターに関しては、その保有および使途を全世界的に公表する義務を課すとかの枠組みを世界的に設ける必要があると思います。金融危機でタックス・ヘイブンを取り締まる世界的枠組みをつくれるのなら、このことも可能でしょう。リンク先の写真が暗示しているように、それはもう人間より賢い思考の可能性をもったハードだからです。同様にクラウド・コンピューティングも要はコンピューティング能力の中央集権化です。Googleが最近訴えられたように(EPICが利権組織であるとしても)コンピューティング能力の独占は警戒すべき事態です。クラウドはグリッドと違い演算能力を利用する最終決定権を企業が持ち去ってしまう枠組みです。警戒するに越したことはないと思います。

また、話は変わって、最近NHKの『沸騰都市』というシリーズ番組のシンガポールの回をみました。世界中から資本を集めつつその資本をバイオを中心とした技術と人材に惜しみもなく投入し、収益をあげ再投入を繰り返す。そしてシンガポールは沸騰している。最近はバイオだけでなくロボット・IT・人工知能のセクションも立ち上げつつあるそうです。VTR中に登場したジム・ロジャース氏はアジア、なかんずく中国が市場における成長部位であることを強く唱導している人物で、その唱えるアメリカ経済危機などを考えるとベンンチャーキャピタルや人材がシンガポールに流入を続けていることなどを鑑みて、シンギュラリティはシンガポールから発するのかもしれないなどと考えたりもしました。

最近の経済危機を機に、リニューアブルエネルギー開発に封印や圧力をかけていた企業グループが業績不振で支配力が弱まりつつあるというニュースがありました。そのため、環境関連の投資を進めていた企業グループなどが主導権を握りつつあり、封印技術の開封が始まりつつあるとか。それを聞いて思い出したのは上遠野浩平『酸素は鏡に映らない』世界の支配者の交代、貨幣の価値の恣意性、自由意志と例外状態の主権者問題などが触れられていた傑作でした。

ところで、ガンダム00がシンギュラリティもの&ファーストコンタクトものになってるんですが、まさか・・・

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コメント

本来ペタフロップと書くところをテラフロップと誤字なってません?
それにしても、いよいよカーツワイルの言う脳の処理速度に達しましたね。
こうなってくると軍事転用が怖いところですが。

投稿: JTT | 2009年3月29日 (日) 17時25分

>JTTさん
いつもありがとうございます。
おもいっきりテラとペタ間違ってました!
ご指摘ありがとうございました。

投稿: 管理人 | 2009年5月 4日 (月) 17時32分

2014年4月のSingularity UniversityのExecutive Programを受講してきました。情報交換をさせて頂きたく、出来ましたらご連絡頂戴したいと思っております。ご検討よろしくお願いします。

投稿: Takemi Sasaki | 2014年4月26日 (土) 10時07分

>Takemi Sasakiさん
コメントご好意有難うございます。私はただ今、Twitterをメインにしておりますので、そちらでお話し頂けると幸いです。

投稿: 管理人 | 2014年4月26日 (土) 16時45分

管理人殿、ご返信有難うございます。確認が遅れまして申し訳ありません。Twitterアカウントをご教示頂けますか。お手数ですが、可能であればメールにてご連絡頂けると大変光栄です。

投稿: Takemi Sasaki | 2014年9月23日 (火) 10時07分

>Takemi Sasakiさん
私のTwitterアカウントは@nanbashuraです。宜しくお願いします。

投稿: 管理人 | 2014年9月23日 (火) 22時22分

こんにちは…

と、いきなり挨拶してよいのか…前回の更新から相当時間がたっていますゆえ…

貴方の記事をすこしばかり見させて頂きました。残念ながら、今は全てを見させていただく訳にはいかず…

私は20代。道元、藤本幸邦を心の恩師にしてます。
上座部、大乗…何故区切る必要があるのか理解できないつまみ者で、しかも仏教徒ですらありません…
貴方の話が聞きたいと思います。

投稿: harami | 2015年3月10日 (火) 08時11分

すみません、一つだけ、質問がしたいのです。
なぜ、「nanbashura」なのでしょうか?

御免なさい、意味がなければ、それほど嬉しいことはありません。

投稿: harami | 2015年3月10日 (火) 08時27分

>haramiさん
特に意味はありません。たまたまです。

投稿: 管理人 | 2015年3月10日 (火) 12時04分

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